iPad Proで実現した識別・検索操作の飛躍的向上

 薬速では、薬剤に刻印された識別コード、色情報、剤形の3つをキーとして、あいまい検索と絞り込みで薬剤の識別・検索を行う。素早く、容易に検索キーを入力するために開発・評価・改修を繰り返し、現在の手法にたどり着いた。

 例えば、色情報は薬剤の検索条件として重要だが、人によって色表現が微妙に異なるため、色名で検索するのは難しい。そこでカラーパレットをボタンとして配置し、スピーディーに色を選択できるようにした。また、剤形については、全薬剤の剤形を調査して検索キーとして利用できるように類型化し、形を表現したボタンで選択入力できるようにした。

持参薬の鑑別作業が飛躍的に効率化した
持参薬の鑑別作業が飛躍的に効率化した
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 識別コードは文字で入力する方式を採用した。パソコンやiPad/iPad mini/iPhoneでは、ハードウエアキーボードやソフトウエアキーボードで入力する方式だが、iPad Proでは、スタイラスペンによる手書き入力を採用することで、簡便性が飛躍的に向上した。「iPad Proには外付けの純正ハードウエアキーボードがありますが、色や剤形はタッチパネル入力なので、操作の一貫性を損ないます。また、iPad Proの画面サイズが大きいとはいえ、ソフトウエアキーボードは画面の半分を占めてしまうため、実用に耐えません。そこで手書き入力ソフトを採用しました」(木村氏)。

 iOS版の手書き入力ソフトとしては、「mazec for Business」(MetaMoJi製)を採用した。タッチパネルデバイスに対応した手書き認識による日本語入力環境で、かな漢字変換機能や、書いている途中で変換候補を表示する推測変換機能も搭載している。入力窓は、画面を横表示にしても画面下部の3分の1程度で済む。このソフトの採用により、識別コードのテキスト入力と色や剤形の絞り込み検索をスタイラスペンのみで操作できるようになった。

スタイラスペンを使って素早く識別コードを手書き入力できる
スタイラスペンを使って素早く識別コードを手書き入力できる
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