背景臭に左右されない

 神崎氏らの手法は「チップ化」や「アレイ化」にも対応できる。においセンサーの機能を「細胞」に実装できるため、細胞をガラス流路内に保持してデバイス化したり、異なるにおいに応答する細胞をアレイ化したりすることで、集積型の高感度においセンサーを実現できる。

 実際、センサ細胞を培養・保持できるようにしたガラス製チップを作製済み。におい刺激に伴う蛍光強度の変化を観察できることを確認した。

 次なるステップは、フェロモン以外の一般的なにおい(一般臭)を検出できるセンサ細胞の作製だ。研究グループは、ハエ(キイロショウジョウバエ)の嗅覚受容体遺伝子を組み込んだセンサ細胞を作製。カビ臭の元となる「ジオスミン」と呼ぶ物質を検出することに成功した。

 このケースでも検出感度は数十ppbと高い。しかも、飲料のフレーバーという背景臭がある条件でも、ジオスミンを特異的に検出できた。

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