申し込みも給付金請求もスマートフォンで完結――。ライフネット生命保険は2016年末から、そんな生命保険サービスを提供している。2017年1月には、チャットボットによる自動応答を用いた、LINEやFacebook Messengerを介した保険診断/保険料見積りサービスも開始した。

ライフネット生命保険 代表取締役社長の岩瀬大輔氏
ライフネット生命保険 代表取締役社長の岩瀬大輔氏
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 1月からの新サービスについて、ライフネット生命は2017年2月10日に説明会を開催。登壇した同社代表取締役社長の岩瀬大輔氏は「我々も遅ればせながら“スマホファースト”へ移行した。スマートフォンを活用することで、生活者と保険サービスの距離感を変えていくことができると考えている」と話した。

 保険サービスへのスマートフォン活用で「日本は海外に比べて大きく遅れている」とも岩瀬氏は指摘する。海外の先行事例の1つに挙げたのが、米Oscar Health Insurance社のサービスだ。

 Oscar社は米国4州で医療保険を提供。契約者数は約15万人といい、保険料収入は2016年推計で7.5億米ドル。米Google社が出資しているほか、多くの投資家が注目している企業である。

 注目を集めている理由は、「医療保険+健康サポート」という新しい形のサービスを手掛けていること。医療機関と連携し、病院紹介や24時間相談、オンライン処方などを提供。フィットネスモニターを配布し、加入者の運動量に応じて保険料を下げるサービスも提供している。これらを通じてOscar社は「Disease Managementにまで踏み込み、病院やヘルスケア関連の膨大なデータを保有している。これがGoogle社などが関心を寄せている大きな理由だ」(岩瀬氏)という。

利用者の“本能”にどう訴えるか

 「保険会社がデータ活用型のビジネスを展開するうえでは、医療・健康にもっと近づくことがヒントになる」。Oscar社のサービスを例に、岩瀬氏はこう指摘する。

 実はライフネット生命自身、医療に関わる領域で2016年に業界初をうたうサービスを立ち上げた。医療保険の給付金請求をオンラインで完結できるというものだ。

 保険会社への電話連絡も、医療機関への診断書の作成依頼も、必要書類の郵送も、すべて不要。スマートフォンなどからオンラインでの請求が可能で、必要書類も画像をオンラインで提出すれば済む。例えば医療機関の診断書は、診療明細書の画像提出で置き換えることができる。

「AI×スマホ×生命保険が実現する未来」と題するパネルディスカッションに登壇した、向かって左から順にLINE 上級執行役員の田端信太郎氏、ライフネット生命の岩瀬氏、森・濱田松本法律事務所の増島雅和氏
「AI×スマホ×生命保険が実現する未来」と題するパネルディスカッションに登壇した、向かって左から順にLINE 上級執行役員の田端信太郎氏、ライフネット生命の岩瀬氏、森・濱田松本法律事務所の増島雅和氏
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