厚生労働省は、2016年4月に電子処方箋を解禁する。同年2月10日に開催された医療情報ネットワーク基盤検討会(座長:大山永昭氏、東京工業大学像情報工学研究所教授)において、同省が示した「電子処方せんの運用ガイドライン(案)」が大筋で了承された。まずは、地域医療連携ネットワークなど実施環境の整った地域で順次運用を開始する。

2月10日に開かれた医療情報ネットワーク基盤検討会の様子
2月10日に開かれた医療情報ネットワーク基盤検討会の様子
[画像のクリックで拡大表示]

 厚生労働省は、今回の検討会での意見を踏まえて電子処方せん運用ガイドライン(案)に若干の修整を加える。同時に、処方箋の電子的な作成・交付・保存を可能とするe-文書法に基づく省令改正を行う。パブリックコメント実施を経て、4月からの施行を予定する。

 電子処方箋の運用は、地域のアプリケーション・サービス・プロバイダーが構築・運用する電子処方箋サーバー(ASPサーバー)に医療機関が電子処方箋を登録し、薬局が取得する方法で行われる。将来的には、電子お薬手帳への調剤情報の連携も行う。電子メールによる処方箋の送受信については、医療情報の安全なやり取りを完全に確保できないとの判断により、ガイドライン案では採用しないことを明記した。

 電子処方箋サーバーの構築・運用は、実質的に地域医療連携ネットワークの運営主体を想定している。医療機関および薬局が同ネットワークに接続できる環境がある地域でASPサーバー構築が整い次第、運用に移行する予定である。

 処方箋には発行する医師、調剤した薬剤師の記名・押印が義務付けられている。このため、医師の電子処方箋の登録および薬剤師の取得においてHPKI(保健医療福祉分野の公開鍵基盤)を利用し、登録者・取得者の認証と証明書付き電子処方箋として運用する。