3Dプリンターの臓器で手術シミュレーション

 杉本氏はこのほか、3Dプリンターの利用事例も取り上げた。最近では患者の医療画像データを3Dプリンター用のデータに変換し、実際と同じサイズの臓器モデルを作成。それを使って、肝移植や腎移植などの手術を事前にシミュレーションすることが増えているという。「失敗のない進歩はないというが、臨床では失敗できない。そこで、3Dプリンターでコピーしたモデルで臓器の位置関係を事前に確認するようにしている」(杉本氏)。

 3Dプリンター自体は水分を扱えないが、臓器の質感を再現するために、3Dプリンターで造形した後に水分を含む素材でモデルを完成するなどの工夫も取り入れている。こうして作成した臓器モデルは、細胞を取得する針の開発や研修医の電気メスのトレーニングなどに利用されているという。

 神戸医療機器創出イノベーションフォーラムは、国産医療機器の開発を推進する「国産医療機器創出促進基盤整備事業」の1つ。医療機関の機器開発の取り組みなどを発表・討議し、企業の開発関係者との交流を促進する目的で開催された。

■変更履歴
イベント名を「神戸医療機器創出フォーラム」としていましたが、正しくは「神戸医療機器創出イノベーションフォーラム」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2016/02/11 20:50]
■変更履歴
本文中の「神戸大学医学部」を「神戸大学大学院医学研究科」としたほか、製品名の表記などを一部修正しました。 [2016/02/12 18:45]