エクスキャリバー代表取締役CEOの浦野文男氏は2016年2月5日、神戸医療機器創出イノベーションフォーラム(会場:神戸市中央区神戸大学医学部会館シスメックスホール)に登壇し、「製造業におけるメタモルフォーシス」と題して、経営コンサルタントの立場から製造業における選択と集中を解説した。

 講演では、浦野氏が2000年から2007年まで社長を務めたカメラメーカーのペンタックスを例に、デジタルカメラが急速に普及する中、同社が生き残りをかけて医療機器分野へ進出した経緯が語られた。

 使われているテクノロジーを比較すると、フィルムカメラとデジタルカメラの共通点はレンズしかない。精密なメカで動作するフィルムカメラと異なり、デジタルカメラは標準的なデバイスを組み合わせれば比較的簡単に作れる。このため2000年ころから大手家電メーカーなどが相次いでデジタルカメラ市場に参入してきた。

 浦野氏は当時、「同じ経営のままではとてもダメだ」と考え、デジタル時代に適した姿に企業をメタモルフォーシス(変態)させることを決意。ビジョン、戦略、アクション、評価、外との関係、顧客対応を見直すとともに、選択と集中を徹底した。

 2番目に大きい工場を閉鎖し、ペンタックス台湾を売却。さらに早期退職制度の実施で従業員数を約20%削減した。その一方で、三菱マテリアルの人工骨事業、医用アクセサリー会社の米Microline社、米Gyrx社、スペインSIM社などを相次ぎ買収し、将来性のある医療分野に経営リソースを集中した。