この分野では国内初の学術大会
この分野では国内初の学術大会
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 「ビッグデータ活用は、今後10年間で医療を大きく変える最も有力な研究分野の一つ」(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 生体集中管理学分野・集中治療部 主任教授の重光秀信氏)――。東京医科歯科大学は2018年2月24~25日、集中治療を中心とする急性期医療へのビッグデータ活用に関する学術大会「1st Big Data Machine Learning in Healthcare in Japan at TMDU」を同大学で開催する。この分野では国内初の学術大会という。

 米国やアジア、豪州から専門家を招聘。ハンズオン形式の講義や、実際のICU(集中治療室)で蓄積されたビッグデータの活用術をチームで競うDatathon(データソン)を開催する。2018年2月1日、大会長を務める重光氏が開催趣旨を説明した。

データが多彩なゆえに活用が難しい

 さまざまな医療場面の中でも、集中治療は包括的で豊富なデータが得られる領域。データ活用が患者の命を救うことに直結すると重光氏は指摘する。実際、ICUでは意識レベルや心拍、酸素飽和度、呼吸数など、多種多様なバイタルデータが管理される。

 その一方で「データが豊富で(予後に影響する)因子が多いために、データ活用が逆に大変難しい領域でもある」(重光氏)という。こうした背景から、集中治療へのデータ活用は十分には進んでいないのが現状だ。そこで、日本集中治療医学会が中心となり「日本ICU患者データベース(JIPAD:Japanese Intensive care PAtient Database)」と呼ぶデータ活用基盤の整備を進めている。