「相談件数が300件を大きく超える日もある。医療相談というジャンルが確かに存在することを、実感している」――。

 医師専用コミュニティーサイト「MedPeer」を手掛けるメドピア 取締役 COOの林光洋氏は、同氏が代表取締役CEOを務めるグループ会社、メディプラット(Mediplat)が2016年3月末に開始した遠隔医療相談サービス「first call」の手応えをこう語る(関連記事1同2)。ユーザー数は2016年末までに1万人を突破した。

 first callは、パソコンなどのテレビ電話機能を使い、オンラインで15分間の医療相談を行えるサービス。内科から小児科、産婦人科、精神科、眼科、整形外科まで、主な診療科を網羅する。現時点で60人ほどの医師が登録しており、利用者からの相談に実名で応じている。モニター期間中のサービス利用料は15分980円。初回無料のテキスト相談も提供している。

メドピア 取締役 COO でメディプラット代表取締役CEOの林光洋氏(提供:メドピア)
メドピア 取締役 COO でメディプラット代表取締役CEOの林光洋氏(提供:メドピア)
[画像のクリックで拡大表示]

「前後」を補うサービスを始動

 順調な立ち上がりを受けて、メドピアは2017年春からfirst callを柱とするヘルスケア事業を本格展開する。遠隔医療相談の「前」と「後」を担うサービスを加え、疾病予防や健康増進のためのヘルスケアサービスとして企業や健康保険組合向けに提案していく。

 遠隔医療相談の「前」に当たるのが、健康診断や各種検査。「後」に当たるのが、2016年10月にメドピアが傘下に収めたフィッツプラス(旧クックパッド ダイエットラボ)が手掛ける「ダイエットプラス」。管理栄養士によるパーソナルダイエット指導サービスだ。

 健康診断や検査の結果を、医師がfirst callを介して利用者にフィードバック。必要に応じて、病院の紹介や管理栄養士による食事改善アドバイスなども行う。こうした形で、「医」と「食」を通じた健康のトータルサポートを提供していく狙いだ。

first callのサービス画面(提供:メドピア)
first callのサービス画面(提供:メドピア)
[画像のクリックで拡大表示]

 10万人の医師会員を持つMedPeerを通じ、医師のネットワークと集合知を育んできた同社。ここに、食と栄養のプロフェッショナルのネットワークと知見を足し合わせ、個別カウンセリングにまで踏み込んだヘルスケア事業に参入する。

 こうした展開の中核を担うfirst call。相談件数は1日平均150件ほどで、350件にも及ぶ日もあるという。遠隔医療相談という新しい領域で、どのようなニーズを捉えたのか――。