「中国はこれから、粒子線治療の巨大なマーケットになる。会場にいる治療装置メーカーの皆さんにとっては、格好の商機となるだろう」――。

Guoqing Xiao氏
Guoqing Xiao氏
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 2016年1月9日に東京・秋葉原で開催された、重粒子線がん治療に関する国際シンポジウム「2nd International Symposium on Heavy-Ion Radiotherapy and Advanced Technology」(主催:放射線医学総合研究所)(関連記事1)。中国科学院近代物理研究所(IMP:Institute of Modern Physics, Chinese Academy of Sciences)から登壇したGuoqing Xiao氏は、こんな言葉で聴講者をあおった。

 重粒子線治療施設は今、世界的な“建設ラッシュ”を迎えている。放射線医学総合研究所(放医研)が1994年に世界に先駆けて治療を開始して以来、これまでに世界で10施設(日本5カ所、中国2カ所、ドイツ2カ所、イタリア1カ所)が稼働。今後10年以内にこの数が倍増しそうな勢いだ。

 2016~2017年に中国とオーストリア、2018~2019年に日本(大阪府と山形県)と韓国で、新施設が稼働予定。1990年代前半に重粒子線治療施設の開発から撤退した米国も、再参入を検討中。2021年の治療開始を目指している。

 日本ではここにきて、手術非適応の骨軟部がんに対する治療に保険が適用される見通しとなるなど、普及への追い風が吹いている(関連記事2)。以下では今回のシンポジウムで明らかになった、これら新施設の建設・稼働計画を見ていこう。