本記事は、日経ヘルスケア11月号の特集「2018年度診療報酬・介護報酬同時改定はこうなる」の一部を抜粋したものです。この特集では、外来・在宅医療の以外のさまざまな分野の動向にも迫っています。

高齢者の医療ニーズが増大する2025 年に向けて、医療・介護の大きな制度改革を進める実質的に最後の機会とされる2018 年度診療報酬・介護報酬同時改定。財源をめぐる攻防が続く中、新機軸の方向性も打ち出されている。総力取材により、注目の中味を徹底予測する。

【外来医療】

 外来医療では、高血圧症や糖尿病、心疾患など生活習慣に関連する疾患が外来患者数の約20%、入院外医療費の約30%を占めている。こうした実態を踏まえ、生活習慣病をターゲットとして適切な医学管理や重症化予防、専門医療機関との連携などを推進するための見直しが進みそうだ(図1)。

図1◎外来医療に関する見直しの方向性
図1◎外来医療に関する見直しの方向性
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 厚生労働省は日本医師会と四病院団体協議会の提言を基に、「かかりつけ医機能のイメージ」案を中央社会保険医療協議会(中医協)総会に提示。生活習慣病患者に対するかかりつけ医機能として、(1)日常的な医学管理と重症化予防、(2)専門医療機関等との連携、(3)在宅療養支援、介護との連携─の三つを示した。その上で、求められる役割として服薬管理や重症化の予防、早期介入、専門医療機関への紹介、急性増悪への24時間対応、主治医意見書の作成、介護支援専門員との連携などを挙げた。

 これらの役割は、2014年度診療報酬改定で新設された地域包括診療料・加算の要件と重なる部分が多い。地域包括診療料・加算の要件は、2016年度改定で常勤医師数が「3人以上」から「2人以上」になるなど緩和されたが、算定の届け出は許可病床200床未満の病院で4.0%、無床診療所では同診療料が13.4%、同加算が12.0%にとどまっている。そのため、次期改定でも要件が緩和される可能性がある。