図1◎集中治療室などの特定の機能を有さない一般病棟における病床機能報告の取り扱い(厚労省の資料を基に編集部で改変)
図1◎集中治療室などの特定の機能を有さない一般病棟における病床機能報告の取り扱い(厚労省の資料を基に編集部で改変)
出典:第5回「地域医療構想に関するワーキンググループ」資料
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 厚生労働省は2017年6月2日と22日に「地域医療構想に関するワーキンググループ」を開催し、病床機能報告制度における機能報告の考え方や、慢性期病床が過剰な構想区域における地域医療構想調整会議の進め方などを提示した。

 病床機能報告では、救命救急入院料や特定集中治療室管理料など特定の機能を持つ病棟は「高度急性期」、地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟は「急性期」「回復期」「慢性期」のいずれか、回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する病棟は「回復期」と一般に報告する取り扱いが既に示されているが、一般病棟など特定の機能を持たない病棟の取り扱いは不明確となっている。そのため厚労省は、こうした病棟については看護配置に応じて機能を報告する案を提示。具体的には、看護配置7対1の一般病棟、特定機能病院一般病棟などは「高度急性期」または「急性期」、10対1の一般病棟、特定機能病院一般病棟などは「急性期」または「回復期」と報告することを提案した(図1)。

 一方で、13対1や15対1の一般病棟などは「急性期」「回復期」「慢性期」のいずれかを報告するとした。13対1や15対1の一般病棟は、主に回復期機能を担う回復期リハビリ病棟や地域包括ケア病棟と看護職員数が同程度であり、7対1や10対1に比べて手術件数などが少ないなど、必ずしも急性期機能を担っていない病棟も一定程度含まれている実態を踏まえ、図1のように「急性期」に向けた矢印は細く示された。これらの組み合わせと異なる機能を報告することも可能だが、その場合は地域医療構想調整会議で話し合う。13対1や15対1を「急性期」と報告することに懸念を示す意見も出たが、最終的には同省の案が了承された。

 同省は、「慢性期」と報告された病床が将来の必要量に比べて過剰な構想区域における地域医療構想調整会議の進め方も提案。具体的には、介護療養病床の転換を含めた今後のあり方を優先的に検討し、その後、医療療養病床のあり方、さらには13対1や15対1一般病床のあり方を検討する方針を示した。これに対して委員から大きな反論はなかったものの、「13対1病床と15対1病床にまで言及すると圧力的に感じてしまう」と、一般病棟への言及は避けるよう求める意見があった。