中央社会保険医療協議会(中医協)は2017年4月12日の総会で、2018年度診療報酬改定に向けて在宅医療をテーマに議論した。

 厚生労働省は検討内容として、(1)在宅医療の提供体制の確保、(2)看取りを含めた在宅医療の充実──の2点を提示。厚労省が示した資料によると、2014年度の調査で訪問診療を提供する医療機関は2万597施設あり、在宅療養支援診療所(在支診)以外の一般診療所が9895施設(48.0%)を占め、往診や在宅看取りについても、一般診療所が手がける例が相当割合あった。一般診療所が在支診を届け出ない理由としては、「24時間往診体制が困難」が39.9%で最多。

 これらのデータを踏まえて同省は、「在支診以外を含めたかかりつけ医による在宅医療提供体制」「かかりつけ医の夜間・時間外の負担軽減に資する地域の医療機関の連携による救急応需体制」の評価のあり方を論点として示した。これに対して診療側委員から、在支診以外の診療所の評価や、病院との連携に関する評価、連携型の機能強化型在支診に関する要件の緩和を求める声が上がった。

 一方、厚労省の調べでは、訪問診療を行う原因の疾患としては循環器疾患や脳血管疾患などが多かった。また、耳鼻科や眼科の疾患のみを理由に訪問診療を行うケースは少ないが、原因疾患が複数ある患者では、耳鼻科や眼科の疾患に対する訪問診療も多く行われていた。こうした状況を勘案して診療側委員からは、「専門的な医師がそれぞれ訪問診療をできるようにしてほしい」との要望が出た。

 患者の住まいによって訪問診療の時間に差がある傾向も明らかにされた。自宅などで療養し、在宅時医学総合管理料(在医総管)を算定する患者では「15~30分」が最も多かったが、高齢者向け集合住宅などに入居し、施設入居時等医学総合管理料(施医総管)を算定する患者では「5~10分」「10~15分」が多い傾向にあった。これを踏まえ、厚労省は「患者の状態や診療内容、居住形態に応じた効果的・効率的なサービス提供」を論点として提示。施設入居者などへの効果的・効率的なサービス提供の評価のあり方については改めて議論することになりそうだ。