厚生労働省の中央社会保険医療協議会は2017年2月8日と22日の総会で、2018年度診療報酬改定に関して外来医療とかかりつけ医機能のあり方を議論した。

 外来医療において大きなテーマとなったのが、インターネットのビデオチャットなどを通じて患者が医師の診察を受ける遠隔診療。現制度では医療機関側が算定できる保険診療点数は再診料や処方せん料などしかない。ただ、2016年11月に開かれた未来投資会議や12月の同会議構造改革徹底推進会合で厚労省は、遠隔診療やAI(人工知能)による診療支援について、十分なエビデンスを収集して2018年度改定での対応を検討するとした資料を提出している。

 これについて診療側と保険者側の意見が対立した。保険者側は、「ICTを使った診療は進めていくべき。毎回通院しなくても診療できる人は多い。ICT診療によって医療費軽減につながるほか、医師や患者の負担が減る」と同省の方向性に賛同。しかし診療側は、「対面診療で医師は患者の歩き方や表情、話しぶりなどを総合的に判断している」などと対面診療の重要性を強調した。それぞれの意見は平行線をたどっており、今後どう折り合いをつけるかが焦点となる。

 かかりつけ医機能に関しては同省がイメージを提示。生活習慣病診療では、(1)日常的な医学管理と重症化予防、(2)専門医療機関等との連携、(3)在宅療養支援、介護との連携──3本柱とした。

 これは日本医師会・四病院団体協議会合同提言(2013年8月)「医療提供体制のあり方」のかかりつけ医の定義「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要なときには専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」がベースになっている。2014年度診療報酬改定で新設された「地域包括診療料・加算」の「主治医機能」より広い概念とした。

 これに対して診療側委員は、24時間対応が必要な点が開業医の負担になっていることを問題視。「医師1人に任せようとするからうまくいかない。複数の医療機関が連携して訪問診療に当たれるようになれば在宅医療がやりやすくなる」といった意見が出た。