タイ企業による日本でのメガソーラー開発が目立っている。その1社である、ビーシーピージージャパン(BCPGジャパン:東京都港区)のパーワン・サイアムチャイ(Pavan Siamchai)社長に聞いた。同社は、タイの石油精製大手であるBangchak Petroleum社の再エネ会社、BCPG社の日本法人である。同法人の前身は米SunEdison社の日本法人で、2016年2月に買収し、稼働中・開発中の案件を引き継いでいる。

BCPGジャパンのパーワン・サイアムチャイ社長
BCPGジャパンのパーワン・サイアムチャイ社長
(出所:日経BP)

――タイは、東南アジアでも早くから再エネの導入に取り組んできました。ここに来て、なぜ日本で太陽光発電所を開発する企業が相次いでいるのですか。

サイアムチャイ社長 タイでは、2009年に固定価格買取制度(FIT)が本格的に施行されました。太陽光発電電力の買取価格は、施行当初は高かったのですが、現在は電力料金とほぼ変わらず、プレミアム分がほぼゼロの設定となっています。

 タイにおける太陽光発電は、もともとEPC(設計・調達・施工)サービスのコストが高いという課題がありました。しかし、FIT開始当初は、買取価格が高く、また、徐々に建設コストの削減が進んだことで、事業性を満たすことができ、導入が進んできました。

 現在は、出力1~5MWのメガソーラーは、別の制度に移行し、政策的に小規模な案件の導入を促進しています。新たな制度では、複数の企業が合同で発電事業者となることを義務付けられるなど、従来よりも制約が多く、開発しにくくなっています。

 そうしたなか、タイのFITで経験を積んだ太陽光発電事業者が、日本やフィリピンなどで開発に関わるようになってきました。大手の企業ほど、その傾向が強くなっています。いずれも、FITの買取価格が比較的高く、太陽光発電の導入に積極的な国です。

 ただし、タイが掲げている太陽光発電の導入目標を達成するには、2030年までに、あと合計出力40~50GWが必要です。年に100M〜300MWの規模で導入を続けることが必要なため、太陽光発電の開発が鈍ってくれば、また買取価格を上げて、導入を促す時が来ます。その時期に、タイでの開発を本格的に再開することになるでしょう。

 日本は、他の東南アジアの国に比べて、法的にしっかりしていることが魅力です。金融機関による融資などを含めて、事業環境への安心感も高い国です。