シャープは今年8月、台湾の電子機器受託製造サービス(EMS)大手の鴻海(ホンハイ)精密工業から出資を受け、子会社となった。ホンハイ傘下に入るに際しては、太陽光発電事業の切り離しなどの憶測記事がたびたび報道され、そのたびにシャープが否定してきた経緯がある。同社でメガソーラー事業などを担うエネルギーソリューション事業本部の稲田周次副事業本部長に、今後の事業戦略などについて聞いた。

ホンハイ傘下でメガソーラー事業は拡大へ

シャープ・エネルギーソリューション事業本部 稲田周次副事業本部長
シャープ・エネルギーソリューション事業本部 稲田周次副事業本部長
(出所:日経BP)

――ホンハイの傘下に入ったことで、太陽光発電所の開発から建設、運営・保守など、エネルギーソリューソン事業の継続性に変化はないですか。

稲田 変化がない、というより、むしろアクセルを噴かせという方向です。エネルギーソリューション事業は、メガソーラーの開発から、EPC(設計・調達・施工)サービス事業など、先行的な投資資金も必要になりますが、経営陣には理解してもらっており、事業の拡大に全く支障はありません。

――太陽光パネルは過当競争で低価格化が進んでおり、先進国のメーカーは事業性の確保に苦しんでいます。パネル拡販のため、メーカー自身がメガソーラーの開発からEPCを手掛ける動きが強まっています。シャープはどんな方向性ですか。

稲田 もともとシャープが国内外で、メガソーラーの開発からEPC、そして発電事業(IPP)を手掛けてきたのは、まさに太陽光パネルの販売量を増やすという狙いからでした。今後も、太陽光パネルの製造・販売とメガソーラーの建設・運営事業を連携していくという方針に変わりありません。

 太陽光パネルの製造・販売事業のリスクは大きくありませんが、単純な機器売りビジネスの収益性が低くなっているのは事実です。これに対し、メガソーラーの開発、EPCサービスなどソリューション事業には個別案件ごとにリスクがある一方、そのリスクをうまくマネジメントできれば、それが収益向上につながります。2つの事業を持ち、相乗効果を出すことで、太陽光事業全体の収益を安定化できる利点があります。