大和ハウス工業は、固定価格買取制度(FIT)の始まる前から、先駆的に風力発電やメガソーラー(大規模太陽光発所)に取り組んできた。こうした経験を生かし、FIT開始後は、メガソーラーのEPC(設計・調達・施工)サービスから、発電事業、そしてO&M(運営・保守)をグループ内で手掛ける体制をいち早く構築し、実績を積み上げてきた。買取価格の低下するなか、今後の太陽光事業の方向などに関し、濱隆常務に聞いた。

「ネットゼロ・エネルギーカンパニー」を達成

大和ハウス工業の濱隆常務
大和ハウス工業の濱隆常務
(出所:日経BP)

――2012年7月の固定価格買取制度(FIT)スタートから4年経ちました。これまでの太陽光など再エネ事業の実績を教えてください。

 大和ハウス工業グループでは、大和ハウス工業がメガソーラー(大規模太陽光発電所)など再生可能エネルギー発電設備のEPC(設計・調達・施工)サービス、大和エネルギー(大阪市)が発電事業とO&M(運営・保守)を手掛けています。再エネでは、太陽光のほか、風力と水力発電の実績があります。

 まず、再エネの発電事業に関しては、2016年6月までに177カ所で合計出力約180MWの設備が稼働しています。このほか、建設中の案件を含めると、196カ所で247MWに達します。このうち風力は25MWで、ほとんどが太陽光になっています。

 稼働済みの出力180MWの再エネ設備が1年間に生み出す発電量は、約1億6800万kWhに達します。大和ハウス工業が1年間に消費する電力は約1億338万kWhなので、すでに「ネットゼロ・エネルギーカンパニー」を達成していることになります。

――太陽光発電設備のEPCサービスでは、FIT開始以降、どのように推移していますか。

 2015年度までの累計で505MWの実績となっています。年度ごとの実績は、2012年度に38MW、2013年度75MW、2014年度183MW、2015年度208MWで、2016年度も200MW以上を見込んでいます。

――日本国内の太陽光パネル出荷量は、2015年度がピークで、その後は徐々に落ちていくとの見方が大勢です。2017年度以降の受注をどのように見ていますか。

 2017年度は、今年度を上回る水準を目指しています。確かに買取価格の低下で悲観的な見方もありますが、逆にそれがチャンスに思います。コスト競争力と施工品質には、自信がありますし、太陽光市場を悲観的に見て撤退する企業が増えれば、プレーヤーの数が減ります。