太陽光パネルは、開発時や製造時の抜き取り品を対象に、複数の加速試験などを重ね、性能や信頼性、安全性に関して評価している。しかし、それらは特定の環境要因ごとに過酷な条件に曝露させる試験装置が使われる。一方で、実際の発電所は、複数の環境要因が同時に変化する中で運用される。こうした実際の環境下で長期間、稼働した太陽光パネルが、どのような影響を受けるのか。産業技術総合研究所(産総研)九州センター(佐賀県鳥栖市)における研究や検証の例を、産総研 太陽光発電研究センター モジュール信頼性チーム 千葉恭男研究チーム長に聞いた(第1回、第2回)。
――九州センターの屋外曝露試験サイトでは、2010年9月以降の太陽光パネルの品種別の月間平均発電量を公開しています。どのような傾向がわかってきましたか。
シリコン系でいうと、例えば、アモルファス(非晶質)型は設置直後の状況に比べると、日射量や日射時間から想定される本来の発電量に比べて、徐々に発電量が低下してきている傾向にあります(図1~3)。
単結晶や多結晶といった結晶シリコン型は、あまりこうした低下傾向は見えていません(図3)。単結晶シリコン型でほとんど劣化の見られないパネルを100として比べると、アモルファス型は経年劣化が相対的に大きいことがわかります(図2右)。
化合物型では、同じようにCIGSパネルを比べると、やはり日射量や日射時間から想定される本来の発電量に比べて、徐々に発電量が低下していることがわかります。約6年間発電を続けて、当初は単結晶シリコン型の100に対して約99だったものが、約96へと約3ポイント落ちています。
このような品種ごとの傾向が、実際に発電を続けることでわかってきています。