日本でルーフトップ型が停滞している理由

――日本の場合、人口密度が高く、都市や市街地に人口が集中しているため、都市部の電力需要を屋根上の太陽光だけで賄うのは限界もあります。遠隔地に置くメガソーラーも必要になるのではないでしょうか。

グッドマン氏 分散型というと、ルーフトップをイメージしがちですが、駐車場、カーポート、小さな空き地など、さまざまな場所を想定しています。探せば候補地はたくさんあるでしょう。街中のちょっとした場所を太陽光発電所にできます。

――日本では、ルーフトップ型に着目した企業が多い割に、思ったほど伸びていない印象です。ルーフトップの課題として、屋根上に20年間の地上権を設定できないなどの問題が指摘されます。そのため、金融機関が融資に二の足を踏んでいる状況です。カナダでは、どのような契約を基に、ルーフトップによる太陽光発電事業が進んでいますか。

ソーラーパワーネットワークのピーター・グッドマン社長兼CEO(最高経営責任者)
ソーラーパワーネットワークのピーター・グッドマン社長兼CEO(最高経営責任者)

グッドマン氏 カナダでも、同じような問題がありますが、日本では特に屋根上の利用権に関する制約が大きいと感じます。例えば、建物の所有者が破産した場合、屋根を借りる権利への影響が日本と北米では異なります。米国やカナダでは、建物の所有者が破産したとしても、屋根上を利用する権利は保持されます。

 日本の場合は、建物の所有者が破産したら、屋根を利用する権利まで消失してしまいます。知っている限り、この問題があるのは日本だけです。SPN社では、世界的な戦略として、あらゆるビルを対象に太陽光発電システムを設置し、事業化する方針を持っています。しかし、日本については、こうした事情から、20年間、利用し続けられると金融機関が評価したビルへの設置に限定されています。