自由民主党の「再生可能エネルギー普及拡大議員連盟」(会長・柴山昌彦衆議院議員)は、「2030年に再生可能エネルギーの電源構成比率を最大44%まで高める」との内容を盛り込んだ提言をまとめ、9月15日に菅義偉官房長官に手渡した。事務局長代行を務める秋本真利衆議院議員に、提言をまとめた背景や具体的な推進策について聞いた。

「非化石電源44%」の達成は必須

秋本真利・衆議院議員(再生可能エネルギー普及拡大議員連盟・事務局長代理)
秋本真利・衆議院議員(再生可能エネルギー普及拡大議員連盟・事務局長代理)
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――「エネルギー基本計画」見直しの議論が始まり、2030年のベストミックス(望ましい電源構成)で掲げた「再エネ比率22~24%」を、さらに引き上げるか否か、が論点の1つになっています。「再エネ比率44%」を打ち出した背景を教えてください。

秋本 日本は国連気候変動枠組み条約のパリ協定を批准したことを受け、エネルギー供給構造高度化法で2030年の電源構成に占める「非化石電源」比率を44%に高めることを明記しました。これは国際公約とも言え、絶対に達成すべきものです。

 「非化石電源」には、再エネと原子力しかありません。現状のベストミックスでは、その「44%」を、再エネ22~24%、原子力22~20%としています。しかし、2030年に「原子力22~20%」達成のハードルはかなり高いと見ています。

 そうなると、再エネをさらに積み増して、「44%」を達成するしかありません。いまの原発再稼働の状況や、今後の「40年廃炉ルール」への対応などを考えると、2030年段階で原発の構成比率は数%ということもあり得ます。そうなると、再エネで40%以上を賄うことが必要で、それは十分に可能だと見ています。

――8月から始まった経済産業省の主催する「エネルギー基本計画」の検討会では、世耕弘成・経済産業大臣が、「今回の見直しでは、エネルギー政策の全体枠組みを変更する時期ではない」と発言し、ベストミックスの構成比率の変更には消極的な姿勢を示しています。

秋本 経産省の本音は、もうしばらく原発再稼働の動向を見て、さらに3年後の「エネルギー基本計画」見直しの場などで、再エネ比率の積み増しを検討する、という腹積もりなのかもしれません。ただ、それでは遅すぎると思うのです。

 現在、再エネの普及拡大を阻んでいる要因の1つが、電力系統の容量不足です。これを打開するための系統増強は、そう簡単ではありません。今のうちから計画を立て、早めに手を打っていかないと2030年には間に合いません。