IRRの目標は7%

――売電価格21円/kWhで7%のプロジェクトIRRを確保するのは、そう簡単ではないと思います。特別高圧送電線に連系する案件の場合、多額の連系費用の比率を下げるために大規模化する傾向にありますが、さらに規模を追求する方向ですか。

安岡 確かに売電価格の低下に伴い、プロジェクト開発の規模は、一般的に2極化する傾向にあります。連系コストが安く、入札の対象でない2MW未満の高圧連系案件か、数十MWの特別高圧案件です。

 こうしたなかで、エクセリオ・ジャパンでは、開発規模のターゲットを20~30MWにおいてきました。これ以上の規模になると、条例による環境アセスメントの対象になることが多く、稼働までのリードタイムが長くなります。条例アセスの対象は自治体によって異なりますが、50~75ha以上なので、発電所の規模にすると30MW前後が上限になります(図1)。

図1●エクセリオ・ジャパンの運営する「袋田太陽光発電所」(約31MW)
図1●エクセリオ・ジャパンの運営する「袋田太陽光発電所」(約31MW)
(出所:日経BP)
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安岡 ただ、売電価格が20円台/kWhまで下がると、20~30MWクラスでも目標のIRRを確保するのが難しくなってきたのも事実です。太陽光パネルの調達コストは大幅に下がってきましたし、施工コストもさまざまな工夫の余地があります。しかし、系統連系のコストだけは、自社の努力ではどうにもなりません。

 66kVの特別高圧送電線に接続するために変電所や鉄塔を新設したり、高圧送電線を敷設したりすると億円単位のコストがかかります。売電価格が21円/kWhまで下がると、こうした系統連系のコストが目標のIRRを確保する上で大きな壁になります。

――さらに規模を大きくして条例アセスを実施した上で建設すると、改正FITで導入された「3年期限」を超えて、買取期間が短くなるリスクもあります。

安岡 そこで、売電価格20円台/kWhでの新規開発では、逆に規模を10MW弱に小さくし、6.6kVの高圧配電線に連系することで、連系コストを抑えつつ、ある程度の規模のメガソーラーを開発していく方針です。今年から実施される入札には、こうしたパターンのプロジェクトでの参加が中心になります。