緑地雑草科学研究所(福井県鯖江市)は、雑草問題の解決のために専門知識や情報提供、対策の提案などを行っている特定NPO(非営利活動法人)。同研究所で理事を務める伊藤幹二氏(マイクロフォレスト リサーチ代表)と伊藤操子氏(京都大学名誉教授)に、メガソーラーにおける雑草対策のあり方などについて聞いた。前半のテーマにとなったメガソーラーの雑草リスクに続き、後半では、具体的な対策手法について聞いた。

――雑草の管理には、具体的にどのような手法がありますか。

伊藤(幹) 代表的な手法は5つです。(1)草刈機による除草(機械除草)、(2)化学薬剤(除草剤)の散布、(3)防草シートの敷設、(4)シバ、クローバーなどの被覆植物の植栽、そして、(5)チップなど植物性資材の敷設――です(図1~5)。

図1●草刈機による除草風景(出所:日経BP)
図1●草刈機による除草風景(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]
図2●除草剤の散布で枯死した草(出所:日経BP)
図2●除草剤の散布で枯死した草(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]
図3●防草シートによる対策(出所:日経BP)
図3●防草シートによる対策(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]
図4●クローバーによる防草対策(出所:日経BP)
図4●クローバーによる防草対策(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]
図5●木質チップの敷設による防草対策(出所:日経BP)
図5●木質チップの敷設による防草対策(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 このほか、防草シートの代わりに、上層を砕石(クラッシャーラン)で覆ってしまう方法や、雑草の侵入を減らす予防対策として、防止壁や防風林を設置する方法もあります。

 雑草対策は、まず、生えた雑草を機械で刈るのか、化学薬剤やシートなどで生えないようにするのかで考え方が分かれます。メガソーラーの場合、パネルに影を作る背丈の高い草が問題にされるので、表土を背丈の低い短草植物で覆う手法も多く採用されます。

 実際には、これらの手法やツールを組み合わせることになります。例えば、コストを考えれば、サイト全体に防草シートを敷き詰めるわけにはいきません。