「診断→治療→点検」のサイクル

――メガソーラーの雑草対策を策定する場合、こうした潜在的なリスクにどこまで備えるかによって、対策の在り方、かけるコストが変わってきますね。

伊藤(幹) メガソーラー施設における「最良管理慣行」を作成するには、まず施設内の現状の雑草植生と、施設周辺の植生状態を調査した上で、10のリスクの度合いを評価し、どこまで備えるべきか、検討し、具体的な対策を決めていきます。

 ただ、「1度つくったら、おしまい」というものではありません。リスクには1~2年の短期的な問題、3~5年の中期的な問題、10~20年の長期的な問題に分けて考える必要もあります。最初のリスク評価に基づいて実施した予防や治療が、どんな効果だったのかを調査・点検し、またリスク評価を行うというプロセスを繰り返すことが大切です(図5)。

図5●雑草リスク対策のプロセス(出所:緑地雑草科学研究所の資料を基に日経BP作成)
図5●雑草リスク対策のプロセス(出所:緑地雑草科学研究所の資料を基に日経BP作成)
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 同じ日本でもメガソーラーの置かれた環境は、すべて違います。それぞれの施設に合った「雑草の最良管理慣行」を作ることが必要です。ただ、策定までのプロセスは同じです。

(後半は7月28日に掲載)(関連記事:「5つの雑草対策を組みわせる」、緑地雑草科学研究所・理事に聞く(後半)

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