「雑草害」は5大生物害の1つ

――メガソーラー事業者は、「雑草」を甘く見過ぎているということですか。

図1●公園に繁茂するクズとヨモギ(出所:日経BP)
図1●公園に繁茂するクズとヨモギ(出所:日経BP)
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伊藤(幹) 実は、世界的に見ると、日本は、メガソーラー事業者に限らず、雑草対策への意識が非常に低い国なのです。

 そもそも人類は、歴史的に「5つの生物害」に苦しんできました。虫害、病害、鳥害、獣害、そして、「雑草害」です。ほかの4つの害がある程度、克服されてきたのに対し、雑草害は、根絶が難しく、いまだに多くの場所でその対策に追われています。農業が典型ですが、身近な場所では、ゴルフ場、公園などもそうです(図1)。

 一般的に命にかかわる深刻な「生物害」というと、蚊がデング熱を媒介するなど、虫害や病害を思い浮かべますが、鳥害、獣害も含め、その背景には、雑草の繁茂があります。虫や鳥獣の多くは草を食べるので、雑草によって誘発されるのです。

 雑草害というと、花粉によるアレルギーなど直接的な害をイメージしますが、蚊のように疫病の伝搬動物の食べ物になったり、農業病害虫の宿主になったりするなど、間接的な害が非常に大きいのです。