緑地雑草科学研究所(福井県鯖江市)は、雑草問題の解決のために専門知識や情報提供、対策の提案などを行っている特定NPO(非営利活動法人)。企業会員37社のほか、個人会員約100人が属し、そのうち16人が雑草に関連した博士号を持つ専門家集団だ。同研究所で理事を務める伊藤幹二氏(マイクロフォレスト リサーチ代表)と伊藤操子氏(京都大学名誉教授)に、メガソーラーにおける「雑草リスク」などについて聞いた。

緑地雑草科学研究所・幹事の伊藤操子氏と伊藤幹二氏(出所:日経BP)
緑地雑草科学研究所・幹事の伊藤操子氏と伊藤幹二氏(出所:日経BP)

――日本各地でメガソーラーが稼働して数年経ち、予想以上に雑草が繁茂して、その対策に苦しんでいます。

伊藤(幹) これまで海外で稼働し始めたメガソーラーの多くは、比較的、乾燥した地域に設置され、もともと植物が育ちにくい環境でした。それに対し、日本のメガソーラーは、雨の多い高温多湿の環境下にパネルを設置することになります。

 アジアモンスーン気候の地域に本格的にメガソーラーを設置・運営するのは、世界で初めてになると思います。雑草対策を疎かにすると、どうなるのか。これは明らかです。

――メガソーラー関係者から、雑草対策に関して、相談を受けたことはありますか。

伊藤(操) メガソーラー事業者からの問い合わせは多く、実際に大手デベロッパーなどの担当者が研究所を訪ねてきて、相談を受けました。共通しているのは、雑草対策について、「どうすればいいのか」、「どの除草剤を使えばいいのか」など、具体的な「答え」を初めから聞きたがることです。

 しかし、雑草対策はそんなに簡単なものではありません。「ツールを示しておしまい」、というわけにはいきません。雑草が引き起こすリスクにどこまで対応するのか、サイト内や周辺環境の状況など、それなりの事前調査を経て、対策を決めていきます。詳しくは後述しますが、まずは、具体的な対策に至るまでのプロセスが重要です。