日本の金融機関から融資を受けられる理由

――日本法人が、国内金融機関による銀行団(幹事・三井住友銀行)との間で、41億円の融資契約を締結しました(関連ニュース2)。中国メーカーにとって、日本の金融機関から融資を受けることは難しいとも聞きます。どのように実現したのですか。

ジンコソーラーホールディングの銭晶副社長
ジンコソーラーホールディングの銭晶副社長
後ろの画像は、パネル納入先の三重県にある出力5MW(出所:日経BP)

 まず、パリ協定での目標を実現するための有効な手法として太陽光発電の導入が世界で加速している中、日本の金融機関も、こうした動きを後押ししたいという意欲があります。

 ただし、金融機関が融資や投資をするには、相手が持続可能なプロジェクトや企業でなくてはなりません。融資先候補の企業に対しては、長期の持続性を見極める一つとして、財務体質が優良かどうかを判断します。

 日本の金融機関が、ジンコソーラーの日本法人への融資を検討する際、この財務体質の検証は、日本法人よりも、主に本国のジンコソーラーに対するものとなります。この審査で高い評価を得られたからこそ、日本法人が融資を受けられたのです。

 ジンコソーラーは、業界トップの利益を継続しており、財務内容は健全です。これによって、世界各国で現地の大手金融機関から融資を受けています。

 米国ではウェルズ・ファーゴ銀行(Wells Fargo Bank)、中国では国家開発銀行、日本では三井住友銀行というように、各地域で最大クラスの金融機関から融資を受けています。

 中国の国家開発銀行は、ジンコソーラーの株主でもあります。

 財務体質が強いと判断されている理由には、もちろん太陽光パネルの製造・販売の事業がしっかりしていることもありますが、他のパネルメーカーとは事業モデルが異なることも大きいとみています。

 多くの大手パネルメーカーは、事業の安定性を高めるために、現在はパネルの製造・販売に加えて、自ら太陽光発電所を開発・運営する事業を手がけています。ジンコソーラーも同じですが、他のパネルメーカーとは、モデルが異なる事業のように感じています。

 他の大手パネルメーカーによる太陽光発電所の開発では、発電所が完成した段階や、発電開始後の早期の段階で、発電所を売却することが多くなっています。

 これに対して、ジンコソーラーの場合、発電所を運営し、売電事業を続けていくことを基本にしています。

――太陽光発電所の開発実績を教えてください。

 中国では、連系済み案件が合計出力約3GW、開発中(パイプライン)が約5GWとなっています。中国以外の世界各国では、連系済みが約1.5GW、開発中が約4GWです。