固定価格買取制度(FIT)の買取価格が低下する中、今後、外資系の太陽光パネルメーカーは、経営戦略の中で日本市場をどのように位置づけていくのか。中国ジンコソーラーホールディング(JinkoSolar Holding)の銭晶(Dany Qian)副社長(Vice President, Global Brand Director)に聞いた。

――日本における太陽光パネル事業のこれまでの経緯と現状を教えてください。

ジンコソーラーホールディングの銭晶副社長(撮影:日経BP)
ジンコソーラーホールディングの銭晶副社長(撮影:日経BP)

銭晶 日本市場に参入したのは、2013年末です。東京と大阪に事務所を置き、販売、物流、アフターサービスを展開しています。

 現在、重点を置いている市場は、中国、米国、そして日本です。

 海外の他のパネルメーカーに比べて、日本市場への参入が、少し遅い時期となりましたが、2015年の日本における販売量は、出力約300MWまで拡大してきました。このうち、約70%が産業用、約30%が住宅用となっています。

 2016年の日本市場での販売量は、出力400MWを計画しています。産業用と住宅用の比率は、2015年と大きく変わらないと予想しています。

――日本では、発電事業やEPC(設計・調達・施工)サービスなどは、展開しないのでしょうか。

銭晶 日本では、太陽光パネル販売のみとするつもりです。

 太陽光発電所を開発し、発電事業者となっているのは、中国や南米、アフリカなど、新興国や発展途上国においてです。

 日本のような先進国には、優れたEPCサービス企業が多くあります。そこで、日本では発電事業やEPCサービスは手掛けません。

 優れたEPCサービス企業と競合することはせず、日本のEPCサービス企業と協力関係を築きやすくし、受注を拡大していきたいと考えています。

――日本における事業のターニングポイントは、いつ、どのような状況で迎えることになると見ていますか。

銭晶 今後、大規模発電向けのFITの買取価格がさらに下がり、住宅用が主な市場に切り替わる時でしょう。現在、それに備えて準備しています。

 例えば、最近では、住宅向けで、大手家電量販店と提携の交渉をしています。