固定価格買取制度(FIT)の見直しに伴う「新認定制度」への移行期限が迫っている。6月30日までに電力会社に接続契約を申し込み、来年3月31日までに締結しないと、現行の認定案件で要件を満たさないものは失効する。滞留案件を掘り起す「落穂拾い」の動きが活発化する一方、新たな「運開期限3年」ルールによって、新規大型案件は苦境に立たされそうだ。

 5月25日、固定価格買取制度(FIT)の見直し法案が成立した。FIT見直しの主要な目的の1つが、認定を得ながら稼働しない「滞留案件」を一掃すること。経済産業省によると、2012年度に認定取得した案件(買取価格40円/kWh・税抜き)と2013年案件(同36円)の合計約70万件のうち、いまだに稼働してないものが約34万件も残っているという。認定後、すでに3~4年も経つのに、実に約半分が滞留していることになる。

「動かない34万件」の行方

 高い買取価格を得ながら滞留する34万の未稼働案件が、今後、稼働するのか、しないのか――。すでに今年度のFITの賦課金総額が2兆円を超えるなか、「動かない34万件」が、エネルギー政策の行方をも不透明にする煙霧のような存在になっている。

 だが、7月以降、その霧が徐々に晴れてくる可能性が高い。FIT見直しで来年4月1日に始まる新認定制度に移行する“期限”が6月30日となっているからだ。新認定制度は、現在の「設備」認定から「事業」認定に変わる。事業実施の確実性を高めるため、電力会社と「接続契約」を結ぶことを必須要件にした。3月31日までに同契約を締結していないと新認定に移行できず、認定が失効する。

 経産省は5月25日、「3月31日までの接続契約の締結を確実にするためには、電力会社に対し6月30日までに契約の申し込みを行ってほしい」と、ホームページで公表した。各電力会社も同様の注意を呼び掛けている。「申し込みから工事費負担金の算定、契約締結まで、9カ月の余裕を見て欲しい」との注意だ。この「9カ月」の根拠は、電力広域的運営推進機関の送配電等業務指針に基づいている。