防草効果は「永久的」
――芝やササなど、被覆植物がうまく根付いた場合、どのくらいの期間、防草効果が続きますか。
伊藤(幹) 雑草管理の手法の中で、「被覆植物が最も経済性に優れる」というのは世界の常識になっています。その理由の1つは、効果の永年性にあります。一度、植え付けて根付けば、20年はもとより、ほぼ永久に防草効果が期待できます。
ただ、ここで勘違いして欲しくないのは、「何もしなくても草が生えてこなくなる」というわけではありません。被覆植物で地表を覆ったとしても、そこに適応した少数の草が生えてきます。雑草管理の形態が、「放置した裸地」から、「ある特定の被覆植物をベースとした土地」に変わったということです。
裸地には雑多な雑草が生えるため管理が大変ですが、特定のカバープランツで覆われると、そこに生える雑草は予想でき、管理が大幅に楽になり、その効果はほぼ永久に続きます。雑草管理の手法の中で最も経済的というのはそういう意味です。
機械による刈り取りに比べると、初期投資はかかりますが、例えば、その土地に適切な被覆植物を植え付け、年1回程度の除草剤散布など、最初に計画的な雑草管理を設計しておけば、草刈りはほぼ不要です。20年間の投資対効果で考えれば、ずっと経済的です。
例えば、機械による刈り取りのコストを1回100円/m2とした場合、10年間で2600円/m2のランニング費用になります。これに対して、芝生による被覆では初期投資を2000~3000/m2、10年間のランニングは330円/m2程度とすれば、トータルで2330円/m2で済む可能性もあります(図4)。
被覆植物の施工コストは、種類や広さ、植え付け方法でかなり異なります。この表で示したコストは一例です。メガソーラーのような大面積を一度に施工する場合、表示したコストより下がるのが一般的です。ただ、いずれにせよランニングコストを考慮すれば、10年で機械除草より低コストになります。20年でみれば経済性はさらに高まります。
加えて、土壌保全や表面流水の発生抑制、地表温度の低下など、除草以外にも多くの機能を期待できます(図5)。