「事後的な過積載」は調査中

――稼働済みの太陽光発電所について、パワーコンディショナー(PCS)の定格出力を変えずに太陽光パネルだけを増設する「事後的な過積載」が増えています。今年1月に開催した新エネ小委員会で、規制の賛否が議論されました。

経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課の山崎琢矢課長
経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課の山崎琢矢課長
(撮影:清水盟貴)

山崎 1月25日の小委員会では、「事後的過積載」の問題点について提起しました。委員のなかにも、「過去にさかのぼってまで、取り締まるべき」など、問題視する声が多かったのも事実です。

 同委員会でも議論されましたが、PCS出力を超えるパネル容量を設置する「過積載」自体は、まったく問題ありません。むしろ、適切な過積載は、土地や設備の利用効率を高め、再エネの発電量を増やすという点で好ましいものです。

 問題なのは、FIT初期の、今となっては高い買取価格を維持したまま、現在の安くなったパネルを設置した場合です。買取価格を算定した当時に想定したシステムコストより安価な設備を調達できるため、国民負担との関係で問題になります(図1)。

図1●「事後的な過積載」に関する新エネルギー小委員会の資料
図1●「事後的な過積載」に関する新エネルギー小委員会の資料
(出所:経済産業省)
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 現在、取り締まるべきか否かに関し、現状を調査しているところです。その上で状況に応じて手を打つ必要があれば、対応するつもりです。現時点では、いつごろまでにどんな対応をするかなど、まったくコメントできません。

――現在、ルール変更を睨んで、「事後的過積載」の駆け込み増設の動きも出てきました。過去に遡及するとなると影響は大きくなります。規制する場合、パブコメを経てからになりますか。

山崎 過積載の駆け込み増設が起こっていることは認識しており、好ましいことではないと感じています。今後、取り締まる場合、どのような形になるかわかりませんし、パブコメを実施するか否か、についても未確定です。ただ、例えば、「PCS出力を変えないパネルの増設」を今の「軽微変更」ではなく、新たな事業設備として認定の取り直しとし、買取価格が変わる形にするのであれば、解釈の変更で済みます。

 過去の増設工事にもさかのぼることに関しては、「公共の利益」に反すると判断できれば憲法上、ルール変更前の工事まで遡及して適用することも可能と考えています。