蓄電池併設で市場に売りやすく

経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課の山崎琢矢課長
経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課の山崎琢矢課長
(撮影:清水盟貴)

――敷地内に電力需要のない野立て型メガソーラーの場合、自家消費できないので買電価格と比べた経済メリットを出せません。その分、FIT後の事業性の確保は簡単ではありません。

山崎 野立て型メガソーラーの場合、FITの後は、電力卸市場に売っても収益性を維持できるぐらい発電コストが下っているのが理想です。ただ、一足飛びにそれを達成するのは難しいので、ドイツのフィードイン・イン・プレミアムや長期の買取期間を設定するなど、市場を介しつつ、何らかの枠組みを残しながら推進していくという形になる可能性があります。

 例えば、メガソーラーにも蓄電池を併設すれば、需要に合わせて売電できるので、発電した電気を売りやすくなり、電気の価値も上がります。しかし、現在の蓄電池の導入コストでは、補助金なしでこうした事業モデルを確立したケースは世界でもありません。

 ただ、20年後は蓄電池のコストも大幅に下がり、さらに高度な制御技術などが出てくる可能性があります。

 将来、蓄電池を併設した太陽光の発電コストが、電力卸市場と競争できるまでコストが下れば、地域に設置した蓄電池併設型メガソーラーが地域の電力需要をすべて賄うことも可能になります。そうなると、地域社会における電力会社のあり方が変わり、電力インフラが劇的に変わります。そして、そうした社会が夢物語ではなくなりつつあると感じます。

――ここにきて蓄電池の価格が急速に下がっていることもあり、FITを活用しつつ蓄電池併設型メガソーラーで事業性を出せるケースも出てきました。その意味でも、蓄電池への補助金を継続して、初期市場を作って欲しいとの声があります。

山崎 太陽光に併設する蓄電池に対し、補助金を望む声が高いのは認識していますし、その背景も理解できます。政策の方向性として、検討すべき課題と思っています。ただ、予算上の制約もありますし、普及に近づき、補助金の利用者が多くなるほど、予算が足りなくなるというジレンマもあります。

――今年から九州や四国の本土でも、再エネに対する出力抑制が発動されるとの見方もあります。経産省として、どのように考えていますか。

山崎 再エネの導入が増えていく中で、火力発電の対応が限界になれば、いずれ、再エネに対する出力制御が必要になります。それに備え、経産省でも新エネ小委員会の下に系統ワーキンググループ(WG)を設置して毎年、電力会社から報告を受け、30日等出力制御枠などについて検討しています。

 実際に本土の出力制御がいつから始まるかについては、日々の需給計画を担っている電力会社の予測に基づき実施されるものと考えています。