4月1日に固定価格買取制度(FIT)の改正法が施行された。「設備認定」から「事業計画認定」への衣替えや、O&M(運営・保守)体制の強化など、FITスタート以来の最も大きな変更となった。新制度に移行して1カ月時点での状況や、今後の再生可能エネルギー政策の方向性などに関し、経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課の山崎琢矢課長に聞いた。

経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課の山崎琢矢課長
経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課の山崎琢矢課長
(撮影:清水盟貴)

ここ3年で各国のエネルギー政策が転換

――昨年10月の調達価格等算定委員会の再開直前に新エネルギー課長に着任しました。再生可能エネルギーの推進では、軸となる固定価格買取制度(FIT)が目まぐるしく変わり、複雑化しています。新任の政策担当者にとっても、全体像の把握がたいへんに思います。

山崎 前職は経済産業大臣秘書官でしたが、実は、経産省に入省以来、度々エネルギー政策に携わってきました。入省直後に、電力小売りの部分自由化に関わりました。東日本大震災後は、電力・ガス改革推進室企画官として電気事業制度改革を担当しました。

 2012年には欧州など海外に赴き、電気・ガス事業に関する制度の状況なども視察し、国内での電力広域的運営推進機関の設立、小売り全面自由化、発送電の法的分離と、現在進行中の電力システム改革の枠組み作りに関わってきました。

 これまでも、電力システム改革の側から、ずっと再エネの動向や政策の変遷を見てきたので、それほど違和感なく、今の仕事にも取り組めています。

――ここ数年の再エネ導入は、目を見張るものがあります。世界でも日本でも、大方の予想を超えるスピードで普及しています。こうした状況をどのように見ていますか。

山崎 2012年に海外を視察した当時、欧州では「再エネが増えてしまって大変」という雰囲気がありました。ドイツが筆頭で、風力や太陽光の出力変動を国際連系線を通じて隣国のフランスやポーランドの系統網も頼りつつ吸収し、なんとか需給バランスを維持しているという実態がありました。

 しかし、その3年後、2015年にIEA(国際エネルギー機関)の電力安定供給に関するワークショップに出席した際には、会議の雰囲気はずいぶん変わっていました。その当時、国によっては1時間当たり電力需要の50%を再エネ電気で賄う局面も出てきましたが、「これは大変」という声はなく、こうした状況を当然として受け入れていました。

 50%を超えるような再エネの供給力を前提に、いかにこれをインテグレート(統合)していくか、という議論が主流になっていました。「REインテグレーション(Renewable Energy Integration)」という言葉がキーワードとなっていたのです。

 もはや、再エネを「使いにくく、やっかいな電源」として、排除するような風潮はまったくなく、基幹電源として大量に入ってきて当然と捉えていました。わずか3年で各国の再エネに対するスタンスが大きく変わったのです。