バイオマス比率を考慮し切れず

――再エネ事業の関係者にとって、最大の関心は、どのくらいの案件が新認定制度に移行するのか、という点です。今回公表された再エネ全体の契約締結容量73.56GWと系統入札プロセス案件対象5.27GWと足すと、78.83GWに達します。そもそも今回、公表された2016年6月末段階の認定容量106.49GWという数値は、これまで公表されてきた再エネ全体の認定容量約89GWに比べてたいへん大きくなっています。

山崎 今回、公表したリリースには「注意事項」があり、その1つに「今回の集計値は、バイオマス比率を考慮していません」と記しています。バイオマス比率とは、石炭火力などにバイオマス燃料を投入して混焼する場合のバイオマスの割合です。

 従来、公表してきたバイオマス発電の認定容量では、バイオマス比率を発電設備全体の定格出力に乗じていたのですが、今回の容量の算定に際して、バイオマス比率を考慮していません。そのため、例えば、化石燃料に少量のバイオマス燃料を混ぜる場合でも、発電設備全体の定格容量が加算されています。認定容量が106.49GWと、これまでの公表値より大きく見えているのはそのためです。

 今回の集計では、個別の案件まで照合していないので、バイオマス比率まで考慮し切れなかったのです。そのため、公表した推計値から新制度に移行する容量を把握しようとすると、バイオマス比率を考慮していないことが大きく影響する可能性があります。ただ、認定数と契約締結数の差である失効件数の推定値に対する影響は小さいと見ています。

 ちなみに今年1月25日に開催した新エネルギー小委員会で、2016年6月までの太陽光だけの数値を集計・公表しました。それによると、接続契約済47.47GW、接続申込済67.53GW、認定容量84.86GWです。再エネ全体の認定容量106.49GWから太陽光の認定容量84.68GWを引くと、22GW程度になりますが、太陽光以外は、これほど多くないので、その何割かがバイオマス発電の水増し分である可能性があります。

経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課の山崎琢矢課長
経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課の山崎琢矢課長
(撮影:清水盟貴)