米ファースト・ソーラーは、CdTe(カドテル)型化合物系太陽光パネルを供給する世界的なパネルメーカー。2018年から新型パネル「シリーズ6」の生産を開始すると発表した。同社研究開発担当シニア・バイス・プレジデント ジギッシュ・トリヴェディ(Jigish Trivedi)氏と、日本事業責任者のジェームズ・ビュフォード(James Buford)氏にアジア太平洋地域を中心に事業戦略を聞いた。

研究開発担当シニア・バイス・プレジデント ジギッシュ・トリヴェディ氏(左)と日本事業責任者のジェームズ・ビュフォード氏(右)
研究開発担当シニア・バイス・プレジデント ジギッシュ・トリヴェディ氏(左)と日本事業責任者のジェームズ・ビュフォード氏(右)

量産レベルで効率17%を達成

――2016年に公表された技術に関する公表資料では、量産レベルの太陽光パネルの変換効率は16.7%となっています。最新の量産品はどこまで効率が上がっていますか。

ファースト・ソーラー(以下:FS) 2016年に技術資料を作成してから量産パネルでの変化効率が向上し、現在、17%に修正しています。マレーシアの工場で量産している太陽光パネルの平均値です。

――中長期的に変換効率はどの程度まで上がっていくと見ていますか。

FS 現在、セル(発電素子)レベルの変換効率の最高記録は22.1%まで上がっています。これまでの経験から、セルをパネル(モジュール)に組み上げた場合、変換効率は概ね9割に下がります。従って、パネルの効率で20~20.5%に相当することになります。

 ただ、これを小型の製造装置、パイロットライン、そして工場での量産ラインというプロセスで商用生産まで持っていくのに、だいたい2~3年かかります。つまり、2~3年後に20%というのが、中期的な量産レベルでの変換効率のイメージです。

――さらに長期的には、どこまで効率アップできそうですか。

FS セルレベルの変換効率の目標を、まず25%に置いています。物理的に開放電圧を高めたり、電流を増やしたりする方法は、ある程度分かっています。それができれば理論的に25%を実現できます。ただ、そうしたパラメーターを同時に達成することは簡単でありません。今後のイノベーションによって徐々に近付けると思っています。

 パネルメーカーの中には、セルの変換効率に関し、量産を想定しない「記録のための記録」になっている場合もありますが、ファースト・ソーラーでは、常に量産を想定して研究し、外部にも公表しています。セル効率25%の目標も、長期的には量産を目指します。