「Japan Solar」のブランド名で太陽光パネルを製造・販売するアンフィニ(大阪市浪速区)は、今年5月をめどに福島県楢葉町に新たな生産拠点「福島工場」を稼働する。同社は、太陽電池のシリコン原料を扱う事業から太陽光パネル製造に参入、メガソーラー(大規模太陽光発電所)やバイオマス発電所、電力小売にも展開している。親川代表に福島工場を新設する狙いや、今後の事業戦略などについて聞いた。

「100~300MWの市場を狙う」

アンフィニ・親川智行代表取締役
アンフィニ・親川智行代表取締役
(出所:日経BP)

――太陽光パネル市場は低価格競争が激しく、国内パネルメーカー大手も海外生産品が多くを占めています。この時期にあえて国内工場を新設する狙いを教えてください。

親川代表 新設する「福島工場」は、延床面積約5000坪(1万6500m2)あり、年産500MW程度までの製造設備の設置も可能です。しかし、まず初年度は100MWでスタートし、最大でも年産300MWまでに留めるつもりです。あえてスケールを追わず、国内で「100~300MW」程度の市場を狙った商品開発に特化し、製造する予定です。

――固定価格買取制度(FIT)を背景にメガソーラー建設が急増し、1サイトで数十MWの案件も珍しくありません。こうした案件を狙えば、300MW程度は容易に積み上がります。

親川代表 現在、栃木県大田原市の工場で年間に約100MW生産していますが、ここでの生産品も25年間の出力保証制度を付けた長期信頼性が特徴になっています。こうした付加価値を評価してくれる住宅や産業用を主体に販売しています。100MWを超えるメガソーラー案件からの引き合いもありましたが、断ってきました。

 売り上げ拡大だけを目指すなら、こうした特高案件は魅力ですが、大型案件を手掛け始めてしまうと、社内体制がそれに合わせて膨らみ、雇用を維持するために規模を追うことになります。そうなると、年産5GW前後の規模を擁した世界大手と競争することになり、日本で生産したのではコスト的に太刀打ちできなくなります。

――あえて「ギガプレーヤー」を狙わないという戦略ですね。

親川代表 一般的な太陽光パネルは、すでに完全に装置産業化しています。最新の量産設備を使っているかどうかで、製品力がかなり決まってしまいます。そのためトップ企業は継続的に大規模投資が必要で、償却できずに経営難に陥るという失敗を繰り返しています。

 設備の稼働率を上げるために安値で受注し、コストを落とすためには材料レベルを下げるしかないので、製品の品質も不安定になりやすいという悪循環になります。特色のある製品で規模を追わなければ、そういう世界に巻き込まれずに済みます。