「除草剤は悪いモノ」は偏見
伊藤(操) 一般の人たちに、「機械のよる刈り取りが良くて、除草剤は悪いもの」というイメージが広まってしまったのは、たいへん残念なことです。ただ、ゴルフ場や鉄道の線路沿いのように非農耕地でも、除草剤を主体にした雑草管理プランが確立し、効率的に運用されている例もあります。
本来、除草剤は機械除草の代替ではなく、まったく機能が異なります。除草剤の良さは、選択的に特定の雑草を防除できることです。
その例を、カラスノエンドウで紹介しましょう。この植物は、日本各地で春になるとよく生える雑草です(図1)。放っておくと1mを超えるほど背が高くなるので公園などでは除草の対象になります。しかし、冬の間にイソキサベン・フロラスラムという化学薬剤で土壌処理しておくと、選択的に防除でき、生えてきません。
下の画像は、事前に土壌処理せずに放置し、4月にカラスノエンドウを機械除草したものです。刈った分はすべて廃棄物になります(図2)。一方、1月に除草剤(イソキサベン・フロラスラム)で土壌処理した後の4月には、カラスノエンドウは生えません(図3)。地表面に背の低い草が生えますが、カラスノエンドウはまったく発芽しません。メガソーラーの雑草管理でも、このような背の高い雑草を選択的に防除する手法は有望に思います。