固定価格買取制度(FIT)がスタートしたのは2012年7月。1年目に稼働した太陽光発電所は、今秋、運転開始後、6年目を迎えることになる。O&M(運営・保守)では、太陽光パネルのトラブルに目が行きがちだが、発電所の心臓部とも言えるパワーコンディショナー(PCS)は、もちろん「メンテナンスフリー」ではない。予防保全の考え方で点検・保守に取り組まないと、思わぬトラブルで売電ロスを招く可能性もある。メガソーラー(大規模太陽光発電所)向けPCSでシェアトップの東芝三菱電機産業システム(TMEIC)のサービスマーケティングチームにPCSのメンテナンスサービスの現状を聞いた。

エアフィルタと冷却ファンは消耗品

――「太陽光発電は、風力発電に比べて可動部がないので、メンテナンスフリー」などと言われたりしますが、PCSメーカーとして、メンテナンスサービスをどのように考えていますか。

TMEIC PCSに関しては、「メンテナンスフリー」ではありません。20年間、交換部品のない運用を前提にした太陽光パネルと違い、PCSには消耗部品があり、定期的に交換する必要があります。

 TMEICでは、FITの買取期間が終了するまで安定稼働を維持するための予防保全として、日々の日常点検と年1回の定期点検のほか、5年ごとに「精密点検」を推奨しています。具体的には、6年目と11年目、16年目です。精密点検では、部品単位での詳細な点検、機能確認、動作試験に加え、消耗部品を交換します。最初の6年目にエアフィルタと冷却ファン、11年目にこれらに加えLCDパネルとヒューズ、16年目にはエアフィルタと冷却ファン、電解コンデンサなどです。

――6年目からエアフィルタと冷却ファンの交換が必要なのはなぜでしょうか。

TMEIC PCS内部では、直流を交流に変換する際、パワー半導体が発熱するため、冷却ファンを回して吸気し、発熱部を空冷しています。その際、PCS内部にゴミが入りこまないようにエアフィルタで防塵して空気を取り込んでいます。

 冷却ファンが故障したり、エアフィルタが目詰まりして吸気量が減ったりすると、PCS内部の温度が上昇し、一定以上になると稼働を停止します。

PCSのメンテナンススケジュール例
PCSのメンテナンススケジュール例
(出所:TMEIC)
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