経済産業省・新エネルギー対策課の松山泰浩課長(出所:日経BP)
経済産業省・新エネルギー対策課の松山泰浩課長(出所:日経BP)

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の見直し内容が固まり、法律改正の準備が進んでいる。FITは、再エネの導入拡大に大きな役割を果たす一方、接続保留の問題や国民負担の増大への懸念も出てきた。制度の見直しに至った背景とその内容に関して、経済産業省・新エネルギー対策課の松山泰浩課長に聞いた。

――固定価格買取制度(FIT)見直しの方向性が固まり、次期国会での法改正の準備が進んでいます。見直しによって再生可能エネルギーの普及にブレーキがかかるとの懸念もあります。

松山 今回のFIT見直しの内容に入る前に、まず、長期的な視点から、エネルギー政策の流れを捉え、その中で再エネをどう位置づけるか、お話ししたいと思います。その方が、これまでのFITの評価や、今後の見直しの方向性を理解しやすいからです。

 いまのポストに就く前、私は石油・天然ガス課長でした。そのこともあって、化石燃料については、色々と考えさせられました。いまは当たり前のように、ガソリンや灯油を使っていますが、「石油の時代」になって、まだわずか100年です。石炭から考えても200年弱です。人類の長い歴史から見れば、ほんの短い間に化石資源に依存するようになったのです。

 そんなわずかな期間の利用で、石油の開発コストは明らかに上がっています。エネルギー安全保障の重要性はますます高まっていますが、石油の権益を確保しようにも、高くて手が出ないのが実情です。シェールガスの獲得に走っているのは、新たな大規模な油田開発に関しては、アラスカや大深海などしか残っていないという面もあります。