芝浦グループホールディングス(北九州市)は、固定価格買取制度(FIT)のスタートと同時に、九州を中心に多くのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を開発してきた。メンテナンス性を重視した設備設計や運営などについて、新地哲己会長兼CEO(最高経営責任者)に聞いた。

――太陽光発電関連事業の実績や現状を教えてください。

芝浦グループホールディングスの新地哲己会長兼CEO
芝浦グループホールディングスの新地哲己会長兼CEO
(出所:日経BP)

 戸建住宅向けでスタートした点では、他の企業と似ているかもしれません。われわれの飛躍の契機になった一つは、全戸個別供給型太陽光発電システム付きのマンションです。

 棟ごとに送配電線と連系したり、共用部で発電電力を使うのではなく、全戸の入居者が、個別に太陽光発電電力を使い、余剰電力を売電できます。この仕組みをいち早く開発し、自社グループのマンションに導入しました。

 メガソーラーの設計や施工についても、FITの法案成立以前から検討や研究をはじめていました。電気店から創業し、総合建設業も手掛けてきましたが、他の発電事業者へのEPC(設計・調達・施工)サービスは引き受けていません。自社開発のメガソーラー向けのみとしています。

 現在、稼働済み・施工中の太陽光発電所は、FITの施行日である2012年7月1日に売電を開始した福岡県嘉麻市の出力約2MWを皮切りに、41カ所・合計出力80MW以上となっています。

 開発から設計、施工、運営まで、自社グループで一貫して手掛けていますが、この規模になると、施工や運営の一部は協力企業に委託しないと賄い切れません。

 そこで、メガソーラーを手掛け始めた当初に、われわれが考える太陽光発電所の施工やメンテナンス手法を学んでもらう「メガソーラー学院」を開設しました。300人以上いる卒業者には、施工やメンテナンスのIDを発行し、協力会社として実務を担ってもらっています。

 しっかりとした設備であることはもちろん、いかにメンテナンスを徹底できるかが、20年間という長期にわたる売電事業において、成否を分けると考えています。