固定価格買取制度(FIT)の買取価格が低下する中、外資系の太陽光パネルメーカーは今後、日本市場をどのように位置付け、どのような戦略を描いているのか。カナディアン・ソーラー・ジャパン(東京都新宿区)社長の山本豊氏に聞いた。同氏は、サンテックパワージャパン(東京都新宿区)の前社長として、日本市場における拡大を牽引、2013年以降に本国のサンテックグループの経営危機が表面化した後も、日本法人の体制を維持し、再建に尽力してきた実績もある。

カナディアン・ソーラー・ジャパンの山本 豊社長
カナディアン・ソーラー・ジャパンの山本 豊社長
(出所:日経BP)

――カナディアン・ソーラー・ジャパンの社長に就任後、約1年間が経過しました。転身の経緯、就任後にまず取り組んだことなどは何ですか。

 サンテックパワーが新たなオーナーの下で再建を果たし、新たな運営で、新たな方向に向かおうとする中で、2015年7月に日本法人の社長を退任することにしました。

 次の仕事として、太陽光以外の分野に進もうと考えた時期もありました。しかし、退任後に電話くれたのは、太陽光の関係者が多く、それだけ声をかけてもらえるのならば、もう一回、太陽光の分野に身を置こうと考えました。

 その中で、縁があったのが、カナディアン・ソーラーということです。タイミングなど、さまざまな縁を感じました。

 カナディアン・ソーラーは、ちょうど日本法人の社長を探しているところでした。当時は、韓国法人の孫 台圭社長が日本法人の社長も兼務していました。そんななか、韓国の事業が活発に動き始め、韓国市場に専念したい意向があり、日本法人の後任の社長を求めていました。お互いに、ちょうどタイミングがあったのでしょう。

 日本の市場は、固定価格買取制度(FIT)が牽引する時代から、徐々に自立的に成長する段階に移っていきます。その中で、住宅用の事業を再び立ち上げ、拡大させていくことが、日本法人にとって、大きな使命となっています。そのために、約1年前に就任し、始動したところです。

 カナディアン・ソーラーの日本法人は、2009年に設立され、当時は住宅用を中心に展開していました。しかし、FITの施行後は、産業用(発電事業用)が増えてきたために、経営資源を産業用に重点的に振り向け、住宅用への力の入れ方が、従来よりも弱くなっていた面があります。

 住宅用の事業を再構築していく中で、2016年は良い形で年末を迎えられたと感じます。

 すでに当初の計画を超え、2016年の年初と年末の月間受注数量を比べると、年末は3倍近くになってきました。2017年は、さらに住宅用を拡大していきます。月間受注数量で、現在から倍増させることを目指します。