グッドフェローズ(東京都品川区)は、土地付き太陽光の物件検索サイト「タイナビ発電所」を展開し、これまでに事業用低圧案件(連系出力10kW以上50kW未満)を主体に累計で約4000物件(約1万6400区画)を掲載している。販売企業315社に対し、投資家の会員は約1万3000人で、そのうち約6000人が実際に物件に投資し、保有している。その合計出力は約2GWに達し、土地付き太陽光物件のマッチングサイトとしてはトップシェアと見られる。同サイトを立ち上げから担当してきた同社メディア事業部の井上洋介マネージャーに事業用低圧案件の動向について聞いた。

「古い体質の事業者」が業績悪化

――工期の短い事業用低圧太陽光の市場は、住宅太陽光と同様、売電単価が低下している影響を受けやすいと思います。マッチングサイトの運営者から見て、低圧太陽光案件の取引状況をどのように見ていますか。

井上 グッドフェローズでは、住宅太陽光の一括見積もりサイト依頼サイト「タイナビ」からスタートし、FITの始まった2012年から事業用太陽光(10kW以上)の一括見積もりサイト「タイナビNEXT」、そして、2013年9月から日本初となる土地付き太陽光発電の投資物件検索サイト「タイナビ発電所」を立ち上げました。

 「タイナビ発電所」はスタート5年目で累計約4000物件(約1万6400区画)の物件を掲載しています。この間、売電単価は毎年、下がっていますが、新規掲載の件数は、一貫して増加しています。2017年は10月までに1863件となり、すでに2016年の1113件を上回りました。投資家によるサイトの閲覧数も一貫して増え続けており、同サイトの運営状況を見る限り、事業用低圧太陽光の市場は、堅調な伸びを維持しています(図1)。

図1●「タイナビ発電所」掲載物件内訳(投資用低圧太陽光、2013年9月~2017年10月掲載)
図1●「タイナビ発電所」掲載物件内訳(投資用低圧太陽光、2013年9月~2017年10月掲載)
(出所:グッドフェローズ)
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――工期の短い低圧案件を主体にしている小規模な太陽光関連事業者は、特高や高圧案件を主体にした事業者に比べ、売電単価低下の影響をすぐに受けます。この分野では業績が悪化する企業も目立ち、「太陽光ブーム」は終わったというイメージもあります。

井上 確かに、倒産したり、リストラしたりする太陽光の中小事業者に関する情報をよく耳にします。ただ、その多くは、収益性の低下している住宅太陽光を主体にした事業者や、そもそも住宅太陽光から事業用太陽光に展開しなかった事業者ではないかとみています。

 かつて国内の太陽光市場は、住宅用がほとんどを占めていました。2012年7月にスタートした固定買取制度(FIT)によって、事業用太陽光の市場が爆発的に拡大しました。こうした環境変化にあっても、古い体質のまま住宅太陽光に専念し、新しいビジネスモデルに取り組まなかった事業者もいます。

 そんななか、九電ショックなどによって住宅太陽光の市場については、小さなバブルが弾けた状況になっており、厳しい企業も出てきました。

 事業用太陽光の分野でも、経営面で苦しんでいる事業者もいますが、それは大規模案件の失敗などが原因に思います。リスクの大きい案件に資金を投じた後、開発が止まってしまったようなケースです。規模の大きな案件には、リスクもあります。