不透明な入札制の効果

 改正FITで、大きな変更となるのが、入札制度の導入だ。経産省は、2017~18年度を試行期間として、対象を2MW以上の特別高圧案件に限定し、2017年度に1回、2018年度に2回実施する。2017年度の1回目の入札量は、「0.5GW(500MW)」とした。  第1回の入札量である「0.5GW」は、ここ数年の設備認定量をベースに「十分な競争が起きる容量」として決められた。

 特高の設備認定は、2014年度約6.3GW、2015年度1.4GW、2016年度0.5GW(6月30日時点)。経産省は、2016年度通年では、1GW程度になると見ているが、2013年度をピークに減少しているため、2017年度は1GWより少なくなる可能性もある。そこで、「十分な競争が起きる容量」として、まず1年目は「0.5GW」とした。

 入札上限価格は、2017年度の非住宅太陽光と同じ21円/kWhとし、2018年度以降の入札量と上限価格については、2017年度の実績を検証して、調達価格等算定委員会の場での議論を経て決められる。

 入札制度の目的は、「0.5GW」の枠を巡って、21円/kWhより安い札を入れる事業者が現れ、買取価格が下がることにある。従って、入札希望者が想定より少ない競争環境下では、21円/kWhに張り付いてしまい、制度の意味がなくなる。

 2017年度の新規認定の申請は、既述したように滞留案件の一掃で、新規案件の開発機運が高まる可能性が高い。買取価格の低下によって、新規案件は、スケールメリットによって事業性を高めるため、10MW以上に大型化する傾向も見られる。外資系を中心に「買取価格21円/kWhでも世界的にはまだ高い。制度リスクの少ない日本は、依然として魅力的」との声は多く、大規模プロジェクトの開発意欲は衰えていない。

 マイナス金利により金融機関は、低リスクで安定的な収益の見込める貸出先として、メガソーラーを再評価する動きもある。その場合、プロジェクトファインナンスを組成するには、10MWを超える規模が多くなる。

 一方で、大型案件は、林地開発許可や条例により環境影響評価を求められることも増えており、改正FITよって創設された「運転開始期限3年」というルールをクリアするのが難しくなる面もある。自己資金に余裕のある開発事業者は、2MW未満の高圧案件を複数、開発していく方向性を強める可能性もある。

 実際に、どの程度の開発事業者が特高案件での認定を目指して入札に参加するのか、予想するのが難しいのが実体だ(図4)。

図4●入札制度の日程
図4●入札制度の日程
(出所:経産省)
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