出力抑制の現実味が増す

 太陽光発電の急速な導入によって、2017年春には、離島に続き、本土での出力抑制が実施される恐れがある。九州電力は2016年7月、四国電力は同年12月、太陽光発電設備などに対して、出力抑制を実施する準備として、「優先給電ルール」と出力制御の手順などについて確認するリリースを発表した。

 両電力会社に共通しているのは、系統規模に比して太陽光の導入が急速に進み、再エネの接続可能量(30日等出力制御枠)の到達に近づいていること。そして、原発の再稼働でも先行している点だ。

 両社とも2017年5月には、太陽光・風力の供給量が、需要の8割を超える可能性もある。そうなると、原発の稼働で長期固定電源が増えていることもあり、揚水発電の動力運転と地域間連系線の活用などで、どうにか需給バランスを保つ、という運用になると見られる(図6)。

図6●四国電力の2017年5月の需給バランスのイメージ
図6●四国電力の2017年5月の需給バランスのイメージ
(出所:四国電力)
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 実際に出力抑制の可能性が高まるのは、2018年5月になると見られるものの、最低需要の動向によっては、2017年5月にも出力抑制の決断を巡り、難しい判断を迫られる局面も出てきそうだ。

 出力抑制のリスクが顕在化した場合、「無制限・無補償の出力抑制」が接続条件となった案件に対するファイナンスに影響を与える可能性もある。

 「無制限・無補償の出力抑制」の条件の付いたメガソーラープロジェクトに対しては、当初、プロジェクトファイナンスが組成できないと言われた。だが、2016年にスマートソーラー(東京都中央区)や洸陽電機が、こうした案件に対してもノンリコースによるファンナスに成功していた。

 2017年5月に、九州電力と四国電力が、出力抑制に対しどんなスタンスで臨むのか。それに対する経産省や電力広域的運営推進機関の出方も含め、2017年が今後の出力抑制の行方を占う年になる可能性もある。