非住宅太陽光の新規認定は3GW超えるか?

 一方で、2017年度に新規の設備認定が進まなければ、2016年度までの認定分が消化されたあとは、市場が激減することになる。買取価格が20円台に下がった2015年度の非住宅太陽光の新規認定は5.3GWに留まっており、2016年度はこれをさらに下回りそうだ。買取価格が32円/kWhだった2014年度の17GWから3分の1に落ち込んでいる(図3)。

図3●非住宅太陽光の認定量の推移(取消・辞退分は除く)
図3●非住宅太陽光の認定量の推移(取消・辞退分は除く)
(出所:経産省公表値を基に日経BP作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 こうしたなか改正FITがスタートする2017年度の新規認定が、どの程度の水準になるかも、大きな注目点だ。2015年度以降、新規の認定が減少しているのは、もちろん買取価格の低下で投資収益性が下っているからだ。加えて、多くの開発事業者が、FIT初期の認定案件の建設で手一杯だったうえ、2012~14年度の高い買取価格の案件が、権利売買の形で流通していることも大きかった。

 だが、ここに来てFIT初期の認定案件が、次々と竣工している一方、新認定制度への移行で滞留案件の多くは失効し、権利売買の市場は大幅に縮小すると見られる。その結果、新規案件の発掘に乗り出す機運が高まることも予想される。

 買取価格が21円/kWhに下がったとはいえ、調達価格等算定委員会では、収益性の前提を「IRR(内部収益率)5%」として算定している。実際に、EPC(設計・調達・施工)サービス事業者のなかには、「施工方法の工夫や工期短縮で、買取価格21円でもIRR5%以上を実現できる」との声は多い。加えて、インフラファンド市場や私募債によって、IRR5%以下の投資資金が増えそうだ。

 非住宅太陽光の分野でコスト削減力を磨いていくほか、住宅や屋根上設置で太陽光の自家消費型を志向する方向や、風力やバイオマス発電などほかの再エネへの展開など、企業により、戦略が分かれていくことになりそうだ。

 2016年度の非住宅太陽光の新規認定は3GW程度に留まる可能性が高いなか、2017年度はさらに減るのか、盛り返すのか。日本の太陽光発電産業の真価が問われるとともに、FIT初期の認定案件を消化した後、メガソーラーなど非住宅太陽光分野がどの程度の市場規模に落ち着くのかを占う数値になる。