室町時代の窯跡を破壊

 こうして発電設備が完成した後の2016年2月、「海上の森野鳥の会」の会員が、稼働中のメガソーラーを発見、瀬戸市に通報した。2月16日には、新聞各紙が報道し、広く市民の知るところとなった。環境団体などから、「全面撤去」を求める声が高まった。

 2月17日には県と市が共同でメガソーラー内を立ち入り検査した。フジ建設から社長を含む関係者3人、県職員12人、市職員8人が現場入りし、測量や聞き取り調査を実施した。その結果、開発面積は2.3haで林地を伐採して改変した面積は約1haだった(図2)。

図2●約1haの林地を伐採して開発した
図2●約1haの林地を伐採して開発した
(出所:日経BP)
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 県は、その場で、盛り土された法面からの土砂流出の防止策を口頭で行政指導し、フジ建設は10日以内に対処すると回答した。また、室町時代の窯業遺跡である「大平窯」跡の一部が造成され、破損していることも判明した。

 こうした事実関係を受け、2月23日に愛知県の大村秀章知事は、「明確な法令違反だ。災害発生、環境の著しい悪化のないよう是正指導していく」との見解を示した。法令違反とされたのは、森林法、砂防法(県砂防指定地区内行為規制条例)、土壌汚染対策法、文化財保護法の4法規で、前者2法は無許可、後者2法は無届けだった。

 この時点で県は、行政指導には従っているため、全面撤去は難しいと判断し、今後、法に基づいた是正を求め、それに従った場合、事後的に許可する方針を固めた。3月1日には県職員が現地調査し、土砂流出の応急処置を確認した。