「ドローン」と称される無人小型ヘリコプターを使い、メガソーラー(大規模太陽光発電所)に並んだ太陽光パネルのトラブルを検知しようとする取り組みが相次いでいる。メガソーラーの全景を上空から撮影する場合に使われることも増えてきた。

 発電事業者や関連サービス事業者は、無人小型ヘリコプターをより安定的に飛行させ、運用時の制御に関するトラブルや、墜落などの事故を防ぐため、多くの工夫を重ねている。

 例えば、適切な飛行ルートや高度の設定、操縦者の習熟度を問わない自動飛行による運用なども、こうした工夫の一つである。

 しかし、飛行して移動する以上、飛行中の墜落といった事故の可能性をゼロにすることはできない。万が一、墜落してしまった場合にも、機体が太陽光発電所内外の設備や人などを損傷してしまう二次被害をできるだけ抑えられるような運用のほか、保険への加入など、さまざまな対策を打っている。

 無人小型ヘリコプターに詳しい技術者によると、飛行中の墜落事故を起こしたことがない経験豊富な事業者であっても、10年間、20年間という時間軸で「墜落ゼロ」を続けていくことは難しいと考えるべきという。そうした前提に立ち、もしもの墜落にも十分に備えた上で運用すべきだという。

 この技術者によると、墜落事故の原因は、整備不良が約7割、飛行する場所に関する判断の誤りが約1割、操作ミスが約1割、想定外の原因が約1割と分析している。飛行する場所に関する判断の誤りとは、飛行に適しない条件の場所で飛ばすといった判断ミスを指す。

 今回は、「メガソーラービジネス」の取材中に起きた、無人小型ヘリコプターの墜落事例を紹介する(図1)。

図1 墜落した無人小型ヘリコプター
図1 墜落した無人小型ヘリコプター
北関東の太陽光発電所内を飛行中に墜落(出所:日経BP)
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