中国の太陽光パネルメーカーであるレネソーラが11月、日本における事業を、中国本社傘下の製造会社に移管したと発表した(図1)。9月末に移管したとしている(関連ニュース)。

図1●レネソーラ製の太陽光パネルを採用した国内のメガソーラー
図1●レネソーラ製の太陽光パネルを採用した国内のメガソーラー
(出所:日経BP)
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 同社は、日本法人のレネソーラ・ジャパン(東京都千代田区)を通じて、日本における太陽光パネルの供給などを手掛けてきた。日本国内でパネルの組み立てを手がけていた時期もある(関連ニュース)。同社が手掛けてきた、日本における太陽光パネル販売、アフターフォローなどのすべての事業が、本国への移管対象となっている。

 また、レネソーラは9月に、2017年第3四半期~第4四半期を目処に、太陽光パネルなど一連の製造事業を、同社の創業者である李 仙寿(Xianshou Li)会長兼CEO(最高経営責任者)に売却することを発表している。

 この「私有化」は、中国系の太陽光パネルメーカーで相次いでいる動きである。事実上のMBO(マネジメント・バイ・アウト)によって、米国の株式市場への上場を廃止するもので、2017年初にはトリナソーラー、11月にはJAソーラー、12月にはカナディアン・ソーラーが、同じように創業者や経営陣による株式の買い取りによって非公開企業化するための合意や実行を明らかにしている(関連ニュース)。

 レネソーラの場合、李会長への製造部門の売却の狙いの一つに、グループ内の債務の圧縮を挙げている。

 この売却後のレネソーラは、太陽光発電事業などの高収益事業に集中する。

 ただし、パネルなどの製造事業を李会長に売却後も、一定の期間(10年間)は、李会長に所有が移った製造企業からパネルなどを購入し、販売を継続するとしている。

 レネソーラの太陽光パネル製造会社は、ReneSola Jiangsu(レネソーラ江蘇)である。このほか、インゴットやウェーハを製造するReneSola Zhejiang、ポリシリコンを製造するSichuan ReneSola Silicon Materialなどがある。

 これらの製造企業の所有者が、レネソーラから李会長に移る。太陽光パネルの製造や保証は、レネソーラ江蘇が続けていく。また、日本法人の業務の移管先も、このパネル製造会社のレネソーラ江蘇となっている。

 レネソーラ製の太陽光パネルを採用した、日本の太陽光発電事業者の中には、これら二つの動きから、「今後、適切な保証を受け続けられるのかどうか」という不安の声が上がっているとの報道も出てきている。

 レネソーラ製太陽光パネルの日本における販売先は、主に発電事業者やEPC(設計・調達・施工)サービス事業者向けで、住宅用はほぼないと見られる。

 発電事業者やEPC事業者が購入したルートは、主に二つに分かれる。日本法人から購入した場合と、販売代理店を通じて購入した場合である。

 日本法人から購入した場合は、レネソーラの発表では、今後の保証やアフターサービスなどは、レネソーラ江蘇が対応窓口となる。

 一方、販売代理店にとって、どのような変化が起きていくのだろうか。レネソーラ製の太陽光パネルを取り扱っている企業のうちの1社に、状況を聞いた。