各地の電気保安協会では、出力2MW未満の太陽光発電所からの発電設備・連系設備の保安業務の受託が増え、トラブルの傾向やその対策などの知見が蓄積されつつある。今回のシリーズでは、北海道電気保安協会が経験したトラブルや対策などを紹介する。

 太陽光発電所では、一定以上の高温になると、安全機能が働いて、稼働が止まる設備がある。例えば、夏の高温時に、西日が直接、当たるような場所に設置された接続箱が、70℃以上の高温になり、稼働を停止したといった例が知られている。

 北海道の場合、地域柄、こうした高温による発電設備の不具合は、起きにくい。北海道電気保安協会が保安管理業務を受託している太陽光発電所でも、こうしたトラブル例は聞いたことがないという。

 逆に、気温が低すぎることによって生じる恐れのあるトラブルについては、発電設備メーカーやEPC(設計・調達・施工)サービス事業者などが、北海道向けには、対策を施すことが多く、予防されている。

 北海道でも、以前のように、-30℃といったレベルの極端な低温を観測することが少なくなってきた。しかし、現在でも-20℃程度が観測される地域はある。

 以前は茂尻など、最近では、道東の陸別周辺などが、特に低温が多く観測される地域となっている。

 こうした地域以外でも、本州などに比べると格段に温度が低くなることが多い(図1)。

図1●岩見沢にある太陽光発電所の冬季の様子
図1●岩見沢にある太陽光発電所の冬季の様子
北海道電気保安協会による定期点検時。この時の気温は-8℃台だった(出所:日経BP)
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 北海道のような積雪や寒冷が伴う地域では、こうした現地の環境や状況を知る事業者に依頼しないと、機器への対策や適切な設計、施工がなされず、トラブルを生じる恐れがあるという。