今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、太陽光パネル間のケーブルとケーブルを結ぶコネクタに穴が開き、絶縁不良を引き起こしていた例を紹介する。

 エネテクがO&Mを受託している出力約260kWの高圧配電線に連系している太陽光発電所における例で、同社が精密点検と呼んでいる年次点検の際に発見した。

 この精密点検時の測定項目に、直流側の絶縁抵抗の測定がある。この発電所の場合、出力10kWの小容量のパワーコンディショナー(PCS)が26台設置されている。こうした小型のPCSを使う場合、太陽光パネルで発電された電気は、接続箱を介さずにPCSに入力されている。パネルを接続した単位であるストリングごとに1回路ずつの入力となる。

 こうした「分散型」と呼ばれるPCS構成の太陽光発電所では、直流回路の絶縁抵抗は、PCSの直流側の入力端子を通じて測定される。

 直流回路ごとの絶縁抵抗を測定した結果、絶縁抵抗値が通常よりも明らかに低い回路が見つかった(図1)。正常値よりも低い直流回路が混ざっていたものの、該当するPCSは稼働を続けていた。

図1●絶縁抵抗値が大幅に低い回路を発見
図1●絶縁抵抗値が大幅に低い回路を発見
(出所:エネテク)
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 具体的には、通常の状態の回路の絶縁抵抗値が13.7MΩなどを示したのに対して、絶縁不良が見つかった直流回路では、0.805MΩを示した。