台風や大雨による水害、地震といった自然災害によって太陽光発電所が被災した場合、損傷して使えなくなった発電設備の取り扱いが重要となる。使用済みの太陽光発電設備の処理に関して、経済産業省と環境省に対して、総務省が勧告した(関連コラム1同コラム2)こともあり、関連事業者の見識が問われる部分となっている(図1)。

図1●公道の隣接地に積み重ねられた太陽光パネル
図1●公道の隣接地に積み重ねられた太陽光パネル
水害で被災した後、交換して不要になったものとみられる(出所:日経BP)
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 住宅用の太陽光発電システムの場合、台風や地震といった地域内で広く被災した時には、地方自治体などによる公的ながれき置き場などが設けられ、他の家財などと同様に、分類して処理できる場合が多い。

 一方で、産業用の太陽光発電所の場合、こうした措置の対象とはならず、発電事業者などが自ら適切に処理する必要がある。

 太陽光発電所は、被災した後、ほとんどが保険を活用して費用を確保し、新たな設備に交換しながら復旧されている。

 従来から使っていた設備を使い続けられるのか、交換が必要なのかどうかは、その設備の損傷の度合いによる。

 例えば、基礎や架台は、浸水したり少々曲がったりしても、修復しながら再使用できる可能性が高い設備といえる。

 一方、太陽光パネルや接続箱、集電箱、パワーコンディショナー(PCS)、昇圧変圧器(キュービクル)といった電気設備は、浸水してしまうと再利用が難しい場合が多い。

 中でも、太陽光パネルは、浸水後も相当量を出力できている場合も多く、可能であればそのまま使い続けたいと考える発電事業者が多いだろう。

 ただし、太陽光パネルメーカーからの保証を受けられなくなることがほとんどのため、その後の長期にわたる事業のリスクを考慮し、新品に交換している場合が多い。

 こうした太陽光パネルがリユース事業者に持ち込まれることもある。リユース事業者は、性能や状態を再確認した後、「リユースパネル」として提供している。そのリスクと価格面の利点のバランスを見極め、メーカー保証が付かないことを認識したうえで、他の発電事業者が採用することもある。

 このように再利用されるか、破棄するかを問わず、適切に処理できていない事例が見つかったことから、総務省による勧告につながった。