出力2MW未満の太陽光発電所では、電気保安管理業務の外部委託が認められている。このため、各地の電気保安協会では、従来の受電設備に加えて、出力2MW未満の太陽光発電所から発電設備・連系設備の保安業務を受託することが増え、太陽光発電所のトラブルの傾向やその対策などの知見が蓄積されつつある。今回のシリーズでは、北海道電気保安協会が経験したトラブルや、その対策などを紹介する。

 北海道電気保安協会は、204カ所の太陽光発電所から電気保安管理業務を受託している。これは委託が認められている出力2MW未満の太陽光発電所で、このほか、出力2MW以上のメガソーラー(大規模太陽光発電所)から、定期点検の補佐を受託する場合がある。また、竣工時の検査などを請け負うこともある。

 電気保安管理業務を受託しているメガソーラーのうち1カ所が、8月末に岩手県に上陸した台風10号による影響で被災した(図1)。

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図1●台風10号の強風で損壊した釧路のメガソーラー
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図1●台風10号の強風で損壊した釧路のメガソーラー
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図1●台風10号の強風で損壊した釧路のメガソーラー
被災後の点検時の様子(出所:北海道電気保安協会)

 台風10号は、日本の南の海上を迷走してから、関東の東の海上を北上し、8月30日に、岩手県大船渡市付近に上陸した。

 東北地方の太平洋側に上陸する台風は珍しく、通常は台風が強い勢力で直撃することがない岩手県のほか、北海道の十勝地方などで大きな被害が生じた(関連ニュース)。

 北海道電気保安協会が保安管理業務を受託している中で、釧路市にあるメガソーラーが被災した。釧路湿原の近くに位置し、出力は約1MWである。

 台風の後、発電の異常を知らせる警報が顧客に届いたことから、電気保安管理業務の一環として、北海道電気保安協会の電気主任技術者の資格を持つ職員が、現地に出向いて巡回・点検した。